岩手大学情報システムの管理・運営

 

加治 卓磨、上野 行秀、吉田 等明、三浦 守

 

岩手大学情報処理センター

020-8550 岩手県盛岡市上田3-18-8

TEL019-621-6096

FAX019-621-6097

kaji@iwate-u.ac.jp

 

岩手大学工学部情報工学科

020-8551 岩手県盛岡市上田4-3-5

 

 

概要

 

 岩手大学は8千人以上の構成員からなり,情報処理センターではその全てを対象として,研究・教育等の支援を行っている。その際に,大量のユーザ登録業務やセキュリティ管理などの問題が生じ,ユーザ管理が最も重大な課題となっている。本学では,カードリーダによる学生の登録の自動化,認証サーバによるアカントの一括管理,セキュリティに関するユーザへの啓蒙活動など,特徴的なユーザ管理を行っている。

 

 

キーワード

 

 大学構成員全員、教育用端末、ユーザ認証カードリーダシステム、リモートアクセスシステム

 

 

1.序

 

 情報システムの管理・運営は各組織の諸事情により様々な形で実現されているものと思われる。本報告では岩手大学の情報システムの管理・運営と特徴的なユーザ管理について述べる。

本学では「大学構成員全員(約8千人)がその恩恵を受けられるシステム」を目指しており、所属を問わずに恩恵を受けられるシステムの構築と運用を理想としている。また、岩手大学の情報システムに関する全学的な問題を審議するための委員会(委員長:学長)を組織していることは、組織面での大きな特徴である。

2.岩手大学の情報システムの構成と管理・運営

 

 全学に張り巡らされた、FDDI系とATM系の2系統のネットワークを経由して、高速メールサーバや高性能計算サーバ・サーバクラスタを大学構成員全員が利用可能である。学外からもリモートアクセスシステムを利用すれば、24時間学内ネットワークを利用できる。また、情報処理センター内だけではなく、各学部に約300台の教育用端末を配備して、各学部の特色や独自性を生かした情報処理教育の促進をを図っていることは大きな特徴の1つである。以下に本学のシステム構成図を示す(図1)。

 

 

3.ユーザ管理

 

 

3.1 ユーザ認証カードリーダシステム

 

 以前まではメールアドレスの取得には申請書類の提出が必要で、登録にも非常に多くの時間が掛かっていた。本学ではカードリーダを使用したユーザ認証システムを導入して、学生のメールアドレスの発行を自動化している。

 本システムは磁気カードリーダとユーザ登録用プログラムをインストールした学内LANに接続されているDOS/V PCWindows95機)から構成されており、各学部と情報処理センターに2台づつ配備されている。また、3ページ程度の説明書を添付しているため、ほとんどユーザからの問い合わせは無く、人的な対応に時間を割かなくても済む。また、アカウントのパスワード変更も同様の環境で出来るため、UNIXについての知識が無いユーザでも容易に使用可能である。

 尚、新入生については入学時に一括登録を行っており、数年後には全学生が登録されることになる。

 

 

3.2 リモートアクセスシステム

 

 アナログ30回線(33600 bps)、ISDN2回線の計32回線でPPP接続業務を行っている。認証にはメールサーバのアカウントを使用しているため、メールアドレスの発行を受けているユーザであれば別途の申請及び登録は不要である。

 

 

3.3 ネットワーク教育実習講習会の全学的な開催

 

 メールやネットニュース、WWWなどのネットワークサービスを利用するにあたって、各ネットワークサービスの使用法やネチケットをユーザに学習させることが非常に重要である。本学では、全学の協力で主に新入生を対象としたネットワークの講習会を開催している。ネチケット、メールサーバへの登録方法、パソコン端末(Macintosh,Windows95)の使用法、図書館情報システムの紹介と、短時間で効率良く学ぶことが出来るように関係委員会で検討、編集された専用のテキストを使用している。

 

 

3.4  教育用端末のユーザ管理

 

 学部毎に配備しているパソコン端末の管理は各学部毎に行われているが、次のような問題点が挙げられる。

ユーザによる利用環境の変更によって、講義に支障をきたす。

匿名ユーザでネットワークを利用して、他のサイトに迷惑をかけるユーザが存在する。

 これらの対策として、Windows 95端末で「システムポリシー」によるユーザ管理を行っている。

 まず、各ユーザのネットワーク利用における各自の責任を認識させるためにWindows NTのドメインにログオン認証することを必須としている。また、環境設定の改変を防ぐためにコントロールパネルの特にネットワークとシステムに関する項目の使用も禁止している。

 

 

3.5 その他

 

 ホームページによる情報提供やユーザ支援メーリングリストによるQ&Aなどを行い、ユーザの情報システム利用促進を図っている。また、セキュリティー対策として定期的にシステム内の不適切なアカウントを検出して、これを撤廃したり、セキュリティー研究会を発足させて学内情報システムのセキュリティーについての検討も始めている。

 

 

4.地域との交流

 

TOPIC(東北学術研究インターネットコミュニティ)の一員として県内の学術研究組織の中核となってTOPIC盛岡NOCを結成し、情報交換や盛岡NOCへの新規接続支援を行っている。また、年2回「ネットワーク連絡会」を開催し、岩手県内のネットワーク関係者の交流と情報交換を行っている。また最近、インターネット相互接続実験のための研究会「COZMIX」を結成し、月1,2回の会合で地域情報化についての研究を行っている。