最新高速ネットワーク動向

 

*橋本 和也

 

株式会社ソリトンシステムズ ソリューション技術部

 

 

 オープンシステムはUNIXを始め、汎用OSと言えるMicrosoft Windows 95/98/NT等が普及し、かつ低価格・高速化したPCサーバ/クライアント等の登場により、ワークグループレベルからエンタープライズレベルまで考慮したネットワークを構築するユーザも増えてきた。また、インターネット/イントラネット等も普及して、ネットワークインフラが重要な位置付けとなっている。ここでは、最新ネットワークの技術及びネットワーク動向ついて述べる。

 

 

1.最新ネットワークの技術

 

 ネットワーク高速化技術には、I/Fそのものを高速にする高速LAN及びそのI/F毎に高速処理するスイッチング技術、ATMネットワーク等がある。

 

 

(1)高速ネットワーク

 

 従来LANとして、10Mbpsのイーサネット、4/16Mbpsのトークンリング等につけ加えて、100Mbpsのネットワークとして、FDDI100mイーサネット・100VG-AnyLAN等があるが、更に10倍のパフォーマンスがあるギガビットイーサネットが登場してきた。以下にギガビットイーサネットの概要を述べる。

ギガビットイーサネット

 100Mイーサネットは1994年頃から登場し、現状では、ギガビットイーサネットが普及し始めている。

 ギガビットイーサネットは、Fig1に示すとおり、従来のイーサネット技術であるIEEE802.3の技術を継承しているため、CSMA/CD・フレーム長・フレームフォーマット等が同じであり、従来のネットワークとの互換性が保証できる(表1を参照)。また、ケーブルもUTPのカテゴリ5と光ファイバーケーブルを利用する。ただし、UTPケーブルのケーブル長は、25m100mまでである。また、光ケーブルを利用する場合のケーブル長は、シングルモードファイバーで2km5km(最近の製品では10km)まで、マルチモードでFibreChannelの技術を利用して、200m550m+までをサポートする。

 また、コスト面を見た場合、ATMで用いられる622Mbps(OC-12)のポート単価と比べた場合、約1/21/3程度の価格で製品化されているため、安価なバックボーンが構築できる。

 現状、マルチメディアの普及により、ATMネットワークが注目されているが、音声や画像等を考慮するためのRSVP(帯域を予約するプロトコル)と802.1Qの組み合わせ(Qosの実現)及びVLANによる802.1Q/pFig23参照)を用いたギガビット対応ルータ・ギガビットスイッチングハブ等により、更に高速で安価なネットワークが構築できる。また、802.3adが標準化されるとポートトランキング等も可能となり、脱 ATM ネットワークに拍車がかかっている。

 

 

(2)ATMネットワーク

 

 ATMネットワークは、LAN/WANを含めた統合のマルチメディアネットワークとして注目されている。

 ATM LAN は、LAN エミュレーションを用いて、安定したネットワークを供給できる段階になり始めた。現状 ATM フォーラムでは、LAN エミュレーション V1.0 が標準化されている。まもなく LAN エミュレーション V2.0 が標準化され、LES LAN Emulation Server)の二重化、UNI 4.0 対応によるQoSUBRからABR)をサポートするため、ATM対応のアプリケーションが普及すると予測される。LANエミュレーションは、LES間の通信にルータが必要となる。今後、標準化されてサポートするPNNI或いは MPOA (Multi Protocol over ATM)といったマルチプロトコル対応の ATM ネットワークが期待される。

 参考までに、FIG4 にギガビットと ATM の比較を示すが、これら最新ネットワークは対立するものではなく、ニーズにより使い分けて共存共栄するネットワークである。

 前項でも述べたとおり、ギガピットイーサネットにより、 ATM LAN は今後伸び悩むと予測されるが、WAN の世界では ATM が中心となるだろう。

 

 

3.今後のネットワーク動向

 

 ユーザが求めるネットワークとは、高速でかつ安価、また管理が簡単で、何もしなくても(アドレス等を意識しない)動くネットワークである。

 また、ランニングコストを下げることも重要なポイントであり、最近では WAN 回線を ATM メガリンクサービスに切り替えるユーザも増えている。また、インターネットの世界でも WDMWavelength Division Multiplexing)装置により、テラビットクラス以上へ切り替え、安価で高速なネットワークを提供されるだろう。(Fig5参照)

今後は、企業内ネットワークでもこの WDM 装置を用いて、高速バックボーンを構築する或いはインターネットを利用して WAN を高速化するケースが増えると予測される。

 現状はフレームリレーATM 等を用いて、音声・画像・データを統合するケースも多くなっているが、VOIP 等の登場により、音声も IP 接続が可能となるため、Layer4 スイッチング技術等を用いて、マルチメディア(音声・画像・データ等)の統合ネットワーク構築を安価でかつ容易に構築可能となるだろう。(Fig6参照)